現地時間23時40分、飛行機は定刻通りニノイ・アキノ国際空港に到着した。
到着客でイミグレーションはごった返していたが、20分ほどで自分の順番が回って来た。
海外旅行には何度か行っているのだが、出入国管理官と対面する時は毎回緊張が走る。
やましいことはないのだが、「Come Here!」などと言われ連れてかれないかと心配になる。
結局会話することもなく、用意していた「サイトシーイング」を使う機会は訪れなかった。
イミグレーションを抜け、空港の玄関を出ると7月のマニラの外気に触れる。
深夜だというのに蒸した空気で、すぐに汗ばんで来た。
宿泊予約時にサイトの送迎依頼のチェックボックスに印をつけていたので、送迎車溜まりの場所へ移動する。
時刻は深夜0時を回っているのに、迎えの人と車でお祭りでもあるのかと思うくらいの大混雑。
迎えが来ていないのか、見落としているのか、場所が違うのか、あっちへフラフラこっちへフラフラしている中で、1時間近く経ってしまった。
もしかして、見つけられずに迎えが行ってしまったのか、それとも、そもそも送迎の連絡が行ってなかったのか不明だが、別の方法でホテルに向かわなければ、空港で泊りになってしまう状態に陥ってしまった。
だが、ニノイ・アキノ空港は利用者以外の立ち入りを禁止しており、一旦外に出てしまっていたので戻るのも難しい状態にあった。
事前の情報収集が足りなかったので、クーポンタクシーの使い方が分からず、白タクのおっちゃんにホテル名を告げ、値段を聞く。
500ペソオンリーだ、と言う。
約1,000円。
恐らく、通常の2~3倍の値段だと思う。
しかし、歩き回った疲れと、深夜である不安からOKする。
タクシーに連れていかれる最中にも客引きがワラワラとくっついて交渉してくる。
しかも、こっちがタクシーに乗ってもドア越しに声を掛けてくる。
運転手のおっちゃんが客を取られまいと、そいつを引っぺがし、ようやく出発できた。
早速、フィリピンの洗礼を受けた気分だった。
走り出したところで、500ペソの支払いを催促してきた。
素直に支払ってしまったのは、間違いだった。
暫く走ったところで、高速の入り口に差し掛かり、高速料金を払えと言ってきた。
私は500ペソオンリーだと思い、出し渋っていたが、何か捲くし立てて来たので30ペソを支払う。
こんな時、英語が喋れたらなと思う時である。
深夜ということもありスイスイと進み、迷うことなく15分程度でホテルに到着。
運転手は「Very fast, very good, tip please」と言ってきた。
この時点ですでにめんどくさくなっていた。
財布にあった小銭をジャラジャラ渡し、そそくさとチェックインしにホテルへ退避。
ホテルの予約はちゃんと取れており、部屋に荷物を置いたところでようやく一息付けた。
初っ端から戸惑ったスタートになったが、寝床を確保して眠りにつく。

40歳手前で会社を辞め、投資活動にて生活を営む。
悠々自適な生活と思いきや、煩わしい事はないものの手持ち無沙汰な時間を過ごす。日々、暇つぶしを探している。
趣味:旅行、ライブ鑑賞、美術館・博物館巡り